政治季評 重田園江さん
去る10月27日に衆議院総選挙が行われた。結果は自公過半数割れで、与党は前回2021年の議席を大幅に下回った。たった3年での変わりようには目を見張るものがある。
これと並んで話題になったのが投票率だ。今回は政権交代の可能性もあるとの前評判から上昇が期待されたが、前回より下がって53・85%、18歳・19歳は速報値で43・06%であった。
16年に18歳選挙権後の初めての国政選挙が行われたころから「主権者教育」ということばが聞かれるようになった。これ自体は戦後の憲法・人権教育の文脈でずっと使われてきた。その後、18歳選挙権導入に先立ち、高校までに主権者としての自覚を身につけるべきだという議論が政府から出てきて、再び注目されるようになった。
たとえば11年4月の「常時啓発事業のあり方等研究会」(総務省)では、模擬投票など選挙への意識を高める教育について検討された。21年3月には「主権者教育推進会議」(文部科学省)最終報告が出され、政府関係の検討会議は一区切りがついた。
実際には、この間に議論された事柄の中心は、政治的中立との両立可能性だった。現実の政党や政策、マニフェストなどを取り上げた場合、特定の政治的立場を擁護することになりかねないという見解を政府がとったからである。そのため、教育現場での主権者教育が投票のまねごとに終始しているという批判も出てきた。一方で現在に至るまで、NPOによる出前授業などは地道に積み重ねられている。
そもそも「主権者」とは何か…